腎不全(急性腎不全・慢性腎不全)について

腎不全(急性腎不全・慢性腎不全)

腎不全とは、腎臓の働きが低下し、体内の老廃物や余分な水分をうまく排出できなくなった状態を指します。大きく分けて、短期間で急激に腎機能が悪化する「急性腎不全(現在は“急性腎障害”と呼ばれることが増えています)」と、長い年月をかけて徐々に腎機能が低下していく「慢性腎不全(慢性腎臓病:CKD)」の2つがあります。
急性腎障害は原因を特定して適切に治療すれば回復することがありますが、放置すると生命に関わる危険もあります。一方、慢性腎不全は気づかないうちに進行し、腎機能が大きく低下してしまうと回復は困難です。
慢性の場合(下記に詳述)、初期は自覚症状が乏しいものの、進行とともにむくみ、倦怠感、息切れ、食欲不振、皮膚のかゆみなどの症状が現れてきます。治療では、食事や生活習慣の見直し、薬物療法によって進行を抑えることが重要です。
腎機能がさらに低下し、末期腎不全に至った場合には、人工透析や腎移植といった腎代替療法が必要となります。腎不全は早期発見・早期介入が鍵ですので、気になる症状や検査異常があれば、早めにご相談ください。

慢性腎臓病について

慢性腎臓病(chronic kidney disease = CKD)は、主に生活習慣病(糖尿病、高血圧、肥満などメタボリックシンドローム)を背景とする糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症を元に発症したり、糸球体腎炎などが原因で腎臓の働きが徐々に悪くなっていく病気です。CKDはメタボリックシンドロームとの関連が深く、誰でもかかる可能性があります。患者さんは日本国内に1330万人いると言われています。つまり、20歳以上の8人に1人がCKDであると推定され、『新たな国民病』とも言われています。

腎臓内科とは

腎臓内科は、腎臓の病気や腎機能の低下に関わるさまざまな疾患を対象とした内科です。特に当院では「透析予防」を重視し、腎臓病の早期発見・早期介入に力を入れています。
腎臓病は、かなり進行するまで自覚症状が出にくいという特徴があり、「症状が出たときにはすでに人工透析が必要な状態だった」というケースも少なくありません。したがって、無症状のうちから定期的な検査と専門的な評価が非常に重要です。
以下のような指摘や症状がある方は、一度腎臓内科での受診をおすすめします。

  • 健康診断で血尿や蛋白尿を指摘された
  • 血清クレアチニン値が高いといわれた
  • eGFR(推算糸球体濾過量)が低下している
  • 糖尿病や高血圧を長年患っている
  • 足や顔などにむくみ(浮腫)がある

腎機能の検査としては、一般的な健康診断では十分に評価できないこともあるため、当院では必要に応じて、より詳細な血液検査・尿検査を組み合わせて腎機能を評価します。

主に診療する疾患は以下の通りです

  • 尿検査異常(蛋白尿・血尿など)
  • 糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、肥満関連腎症などの慢性腎臓病(CKD)
  • 急性・慢性腎炎(免疫性腎疾患など)
  • 遺伝性腎疾患(多発性嚢胞腎など)
  • 腎性貧血 など

腎臓は一度機能が低下すると、元の状態に戻すのが難しい臓器です。そのため、当院では、腎機能の低下をいかに防ぎ、進行を遅らせるかに重点を置いた治療を行っています。
また、すでに腎機能が高度に低下している患者さまに対しては、人工透析や腎移植といった腎代替療法の適切なタイミングでの導入についてもご説明し、命を守る治療へとつなげてまいります。
治療方針は、日本腎臓学会の診療ガイドラインに準拠しており、特に糖尿病・高血圧・脂質異常症などを併発している方に対しては、腎臓に配慮した薬剤の選択・調整を行っています。
現在ほかの医療機関に通院中の方でも、治療内容のご相談やセカンドオピニオンとしての受診も可能です。
お気軽にご相談ください。

尿潜血について

尿潜血とは、尿の中に血液(赤血球)が混じっている状態です。原因としては、糸球体腎炎、尿路結石、膀胱炎・腎盂腎炎などの感染症、尿路がんなどが考えられます。
一時的な体調不良や運動でも出ることがありますが、腎臓や泌尿器の病気が隠れていることもあります。特に糸球体腎炎は、腎機能に影響を及ぼす恐れがあります。
健康診断などで尿潜血を指摘された場合は、症状がなくても放置せず、早めにご相談ください。当院では、必要に応じて詳しい検査を行い、原因に応じた対応をいたします。

蛋白尿について

たんぱく尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害で尿に必要以上のたんぱく質が出てしまうことを指します。現代では糖尿病や高血圧といった生活習慣病が原因となっている事が多いのですが(糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症)、膠原病のような免疫病や薬の有害事象、感染症などさまざまな理由で生じる「慢性腎炎」や「急性腎炎」でも出現します。原因によってそれぞれ治療法が異なります。陽性と診断された場合は早めに詳しい検査を受けましょう。